2014年6月9日月曜日

日本の食文化からみるラーメンとつけ麺の違い。

今や日本食と言っても過言ではない、ラーメン。それと対比される事が多い、近年専門店が立ち並ぶほど人気となったつけ麺。では、ラーメンとつけ麺との違いを、あなたは答えることができるでしょうか。


 

私たちは和太鼓グループですが、日本の伝統文化や、民俗芸能について、強く興味を持っています。その1つとして、今回の記事にふれてもらえればと思います。


 

「一汁三菜」日本の食卓には、昔から汁物(スープ)が並んでいた。

小学校の頃の家庭科の授業で、「一汁三菜」という言葉を耳にしたことはないでしょうか。お味噌汁やすまし汁などの汁物1品と、漬け物や煮物、魚などのおかずが3品ならんだ食卓のことを言います。


 
ご飯を食べるのに、日本人は昔から汁を飲んだ。まるで汁がなければご飯が食べられないようだ、と400年前のポルトガル人の記録にみえる。それほど汁が好きだったから、ぜいたくな料理を出そうとすると、二種も三種も汁を出すことが江戸時代の献立ではしばしばあった。これを本膳料理といって、二の膳つきの場合は必ず汁が二種つくことになっていた。しかし、庶民の間では汁は一種とした。ただし汁はおかわりしてよいもので、一度まで許されたが、二度目の汁のおかわりは勧められても断るのがマナーである。
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以上の記録を参考にすると、日本のスープ文化が根づいたのは江戸時代だったと考えられます。確かに、時代劇をイメージすると、ご飯とお漬物とお味噌汁、必ずセットになっていますよね。


 

日本のスープ文化がラーメン人気を生んだ。

スープをこよなく愛する日本人だからこそ、ラーメンが人気になったのではないでしょうか。しょうゆ、みそ、しおなどの一般的な調味料をメインに使っていた時代がありました。しかし最近では、魚介系豚骨醤油のようなスープも生まれており、相当な研究熱だと言えます。


 

麺が主食で、スープがおかず。つまり、メインディッシュはスープにあるわけです。こってり系のラーメンを食べる人の中には、ラーメンをおかずにごはん(白米)を食べる人もいるくらいです。

つけ麺はそば文化に近い感覚がある。

一方で、つけ麺はラーメンとは決定的に反しています。それは、スープをそのまま飲むことはない、ということです。


 

これは、カツオ出汁のよくきいたツユにつけて食べる、そばの文化に由来しているからでしょう。ラーメンの主役がスープだったのに対し、つけ麺では麺が主役となっているのです。


 

つまり、日本の食文化という観点から切り分けると、ラーメンはスープ文化、つけ麺はそば文化だと言えることになります。


 

日本の食文化を切り口に、これからの日本食について考えてみる。

日本食といえば、一般的には薄味で、出汁の効いた素材の旨味を活かした料理という印象があります。が、ラーメン屋つけ麺の界隈では、全く逆行していますよね。味は濃く、出汁というよりは固形物が浮いている不透明なスープで、油も多くてこってりしています。


 

これを食文化の変遷と捉えるか、逆行として捉えるのかは分かりません。が、どちらにしろ根本にあるのは日本人が大好きなスープ文化と、そばの文化であることはハッキリと言えます。


 

そして、ラーメンとつけ麺との境界が曖昧になってくる、すなわち、スープ文化とそば文化の融合が起こりつつあるのが、ラーメンとつけ麺にまつわる日本の食文化の変化なのではないでしょうか。